模型製作について その4 塗装で「金属」を表現する2

 塗装で「金属」を表現する ってことですが、今回はメタリック関係のお話を。

 

 私もカーモデルは1回しかマトモに塗装して作ってないので、知見は浅いですけどw  作った時に感じたことと、仕事柄 金属の表面処理関係で金属自体を見る機会も多いので、その辺りのことも交えて。

 

 車 や バイク模型で、キット内の ピカピカの金属色しているパーツは、アルミ蒸着という手法で、プラの上にアルミが乗っている状態です。

 もちろん、そのまま活用して作っても良いんですけど、イマイチ 色味と質感が気になる・・・

 

 アルミの無垢材って 本来は もう少し くすんだ光沢です。

 一番わかり易いイメージとしては スターウォーズに出てくる R2D2の頭部がアルミの本来の色。

1/48 Finemolds X-Wing ”Red 5”

 R2D2は 光沢黒サフの上に クロームシルバーを塗装後、自家製つや消しクリアーで ツヤを落としただけw

 ※ メタリック塗料の中の金属粉は ほとんどがアルミ粉 なので、ツヤをアルミっぽい光沢まで落とせば、当然 アルミに見えるw 

  

 ピカピカパーツは ツルツルのプラの上に蒸着により、薄く緻密に載ってるので、本来のアルミ金属より ピカピカなのです。

 キットのピカピカ パーツは本来、実車の「クロムめっきされたパーツ」を再現するために入れられてます。

 車のロールバー だったり  バイクのフロントフォークだったり、エンジンパーツたったり。

 でも、皆さん、なんか安っぽく感じちゃいません?

 「ピカピカに光ってるけど・・なんかオモチャっぽい・・実車と違うよね・・」ってw

 

 それは クロムの皮膜 と アルミの皮膜の「金属自体の色の差」に 違和感を感じているから。

 実車のクロムのパーツは当然 「めっき」で付けられてます。 

 鉄系部品の上に 下地に 光沢ニッケルめっき をしてから 仕上げが クロムめっき

 クロムもアルミも 同じ白系の金属ではありますが、クロムは、アルミよりも もう少し暗い色で、皮膜に深みがあり 青味(6価クロムめっき 特有の色)がかっています。

 普段 見慣れているクロムめっき皮膜の部分が、クロムめっき皮膜の色味ではないので、違和感を感じる訳です。

 一番 目にし易いクロムめっき された物は、少し高めのボールペンの先の円錐状の金属部分ですかね。あれがクロムめっき皮膜の色。

 あとは ママチャリのハンドルとか、今時の車の外装のピカピカしたグリルとか(プラ上に めっきされてます。最終仕上げのめっき が クロムめっき )

 

 車の外装、バイクの外装でクロムが使われる理由は 硬くて耐食性が高い金属だからです。

 前回のお話で、鉄はすぐに錆びる って話をしましたが、クロムはもっと酸化が速いですw

 ただクロムの表面が酸化しても、鉄とは違い、金属色に変化が無く、光沢具合も変わりません。

 すぐに酸化膜に覆われるので、それ以上酸化しない。だから空気中で安定なんです。

 

 ステンレスも同様。「錆びない」のではなく、すぐに酸化膜に覆われるから、それ以上、深さ方向に 酸化しないだけ。 

 鉄に クロム、ニッケル と 微量のタングステンモリブデンを添加することで、すぐに表面が酸化するように なっているのが ステンレス 表面の酸化膜が保護膜になっているってことです。

  厳密に言えば ステンレスや クロム は 常に錆びた状態w(見た目が変化しないので、錆びてる 酸化してる とは思わないですよね)

 なので、クロムめっき皮膜 や ステンレスは 雨風に当たっても 変化なく一定の光沢を保っていられるのです。

 

 私がコペンを作って もうかなり経ってるので、その後に もっと良い塗料等が発売されているかもしれませんw 情報としては 少し 古くはなりますが。

  コペンを作るに当たり、アルミ蒸着は、いかにもプラモデルに見えてしまうので、剥離してロールバーをクロムっぽい光沢で仕上がると評判の「メッキシルバー NEXT」を使用してみようと。

  

 ちなみに、アルミ蒸着皮膜は キッチン泡ハイター等の塩素系漂白剤で落とせますので、換気の良い場所で、パーツを塩素系漂白剤に漬ければ 数分もしない内に綺麗に溶けます。

 上が キットのアルミ蒸着ホイール  下が アルミを剥離し、パーティングライン、バリ、金型の放電加工の模様 等をペーパーで均し、自家製 ガンメタル色で塗装したホイール。

 この後、BBSのデカールを貼ってクリアー塗装してます。

 

 コペンのロールバーを 「メッキシルバー NEXT」で塗装した時は、かなり苦労しました。(剥離はホイール同様にキッチン泡ハイターで)

 エアーブラシで 対象物をかなり離して 吹かないといけない・・・

 それも軽く降り積もるように・・・

 それもエアーを絞って 低圧で吹く・・・

 欲張って厚く吹くのも NGだし・・・

 なかなか 上手くいかなくて 8回 吹き直して やっと・・・

 毎回、プラの状態まで、ラッカー溶剤で剥離して、下地塗装からですから、結構萎えましたw

 

 あと、下地が大事です。

 綺麗に光らせたいなら 下地を「テロテロの光沢黒」で 作っておくのもポイント

 セッカチなので、待ってられず 黒を吹いて 完全に乾燥硬化する前に メッキシルバー NEXTを吹くと・・・NG ^^;;

 黒をテロテロに吹いて、1日は置いた方が良いですw

 アオシマ 1/24 コペン アルティメットエディション

 

 悪くはないんですけど、完璧でもないw

 本来のクロム光沢とは ほど遠いですけどね・・

 塗装の限界といったところでしょうかね ^^;;

 結局 メタリック塗料の 金属粉が積み重なって皮膜になるので、粒状感は完璧には消せない・・・(光が面ではなく金属粉(球体)に当たって 反射するので )

 片や 金属膜(めっき膜) 片や 金属粉(メタリック塗膜) ですから 勝負には ならんのですが。

 

 分かり易く言えば・・・

 小麦粉の1粒1粒が整然とギッシリ 並んでいる面(めっき皮膜) と、パチンコ玉1個1個が雑然(重なりも有り)と並んでいる面(メタリック塗膜) を 比べる様なモノです。

 両者を 一定の距離から見ると

 小麦粉の面 は  粒感は無くなり、1枚の「面」にしか見えない。

 パチンコ玉の面は、 まだ パチンコ玉の 粒状感が 消えてないし、場所場所のムラ感も目立つ

 そういうことですw

 

 

マシーネンクリーガー WAVE 1/20 FireBall Prototype

 このFireBallは 自家製ダークアイアンサフを塗装してクリアーを吹いて軽く磨いてます。

 

 メッキシルバー NEXTを吹いた後に FireBall同様 クリアー塗装を出来れば良いんですけど、コイツ(メッキシルバー NEXT皮膜)は、クリアーを吹くと金属粉が動いてしまって、余計に光沢が落ちてしまう・・・ ^^;; 

 皮膜が薄く弱いので ラッカー溶剤に すぐに侵食されてしまう感じです。

 

 なので、極力 表面の粒子の凹凸を無くすために 優しく 指で 押さえたり 撫でてますw

 で、少しでもトップコート的なことがしたくて、ガラスコート剤(コペンのフロントガラスに使う為に購入しておいた)を塗ってから拭き取ってます。(ガラスコート剤には どうにか耐えましたw)

若干は透明感が上がった気がしますw

 

 

 Doozy model works 1/24 お姉さんフィギュア(改) とコペン アルティメットエディション

 シートに置いてあるクラッチバッグは エポキシパテでフルスクラッチしてます。

  

 ※ コペンは 若干 車高を下げてますw ノーマルのスペーサーを少しだけ削って。 タイヤとタイヤハウスの隙間が広いと・・・ね ^^;;

 

 FireBallと ロールバーを比べると ロールバーの方が 塗膜が緻密な気がしますね。

 普通のラッカー系アクリル系 メタリックより メッキシルバー NEXTの方が、クロム皮膜部分の表現としては良い感じはします。

 吹き方とか、いろいろ難しい面はありますが ^^;;

 

 

次回は 塗装の諸々のお話を。