模型製作について その3 フィギュアのセミスクラッチ

 塗装の話の続きは、またにしてw  

 今回はフィギュアの話を。

 

 陸モノ ミリタリーモデラーとしては、フィギュアは結構身近なモノというか、ジオラマを作ろうとすれば、どうしても避けて通れない部分でもあります。

 

 ただ・・・いろんなメーカーのキットがありますが、なかなか自分の構想通りのポーズ や 軍装 をしていないし、決まったモノだと オリジナリティが 出しにくいのも確か。

 自分が一番イヤな パターンというか ^^;;

 見た瞬間に 「あっ! どこどこのメーカーの あのフィギュアのキットだー」みたいな・・・

 

 1/35 ジオラマ 初作を作るに当たり、とりあえず なにか試しに作ってみようか(習作)と 思い立ったのが フィギュアのセミクラッチを始めた切っ掛けです。

 出来るか出来ないか 判らんけど、やってみれば なにか掴めるかも  っとw

 丁度、その頃(2006~08年辺り)アーマーモデリング誌でも フィギュアのセミクラッチの方法とか載ってましたので、とりあえず、それに倣ってやってみました。

 

 せっかくなので、銃を構えてるところなんて 出来たらカッコイイな~ ってことで、射撃のポーズを。

 

  第二次大戦時のドイツ軍の武装SS(武装親衛隊)のフィギュア(ドラゴン)をベースに、まずは 0.8mmの真鍮線で、ポーズを作ります。

 1,  肩の骨がある辺りに 0.8mmのピンバイスで 横穴を開けて、そこに0.8mm真鍮線を差し込みます。真鍮線の長さは、慣れもありますが、腕の長さ+α といったところ。α の部分は 胴体 と 手先 のパーツに差し込む分です。

 最初は 腕が長過ぎたり、短過ぎたり ってこともありますが、それも経験ですw

 長い分には切れば良いので、少し長めにして調整した方が真鍮線が無駄にならずに良いです。

 やってると 定規で 計らずも「勘」でキマり 始めるのでw

 肘までの長さとかも ラジオペンチで曲げてみて、違和感の無い ところを探します。

 人間は一番見慣れているので、違和感のあるポーズは すぐに判りますのでねw

 自分がそのポーズをしてみれば、腕の角度、肘の角度とか 手首の角度とか分かりますから。

 

で、ポーズが決まったとします。

 そうしたら、それぞれのパーツの真鍮線の差し込み部分 と 真鍮線 全体に「瞬間接着剤」塗ります。 

 ポーズの固定と、真鍮線が「エポキシパテと くっ付き易くするため」のバインダーとして全体に瞬接を塗るということです。

 生の金属と樹脂は 馴染み が悪いのでねw

 

 2, 木部用パテ(エポキシパテ) を コネて、大まかで 良いので、真鍮線を包むように、腕全体に盛り付けます。

 木部用パテは 硬化が速く、あっという間に 固まりますので、あまり大量に混ぜないこと。 勿体ないですw

 固まったら、デザインナイフで 大まか にサクサク切って 腕の太さにしていきます。

 木部用パテは、硬化が速く すぐに次の工程にいける のと、サクサク切り易く加工が楽 っていうのが特徴です。

 要は 「木部用パテ」は 「肉」となります。真鍮線は「骨」

 この上から服を着せるので、幾分「細め」にしておいた方が良いです。

 

 3, 服は デューロパテ(緑色)で 加工してます。

 胴体は武装親衛隊のポンチョを着ているので、それに合った袖に。

 軍装とかの知識も、やっぱり必要ですねw(お勉強 お勉強)

 デューロパテが硬化し過ぎると もう加工は出来ないので、柔らかい内に加工します。

 なので、片腕づつ 加工します。

 デューロパテを片腕分 混ぜて良くコネて(青と黄のパテを混ぜるから緑になるw)腕の周りに巻き付けていきます。

 スパチュラ(歯科技工士が使う道具)も良いんですけど、私は「爪楊枝」一本で加工しますwww

 爪楊枝を舐め舐め コロコロ転がして 腕の形を整えていきます。

 太いと思えば、ニッパーでパテを少し切って 量を減らして、また整形します。

 太さが決まったら、ここからが勝負!

 

 4, 袖に皺(シワ)を付けていきます。

 皺は実際に自分で服を着て、ポーズと同じように肘を曲げてみて、観察するのが一番良いです。

 基本 服の皺は 「Y」字 の形になることが多いです。皺の出来方の法則を頭の中に入れれば、イチイチ見なくても なんとなく皺が刻めるようになります。

 こればかりは やってみてもらう しかないです。

 服の縫い目は デザインナイフの刃で優しく切り込みを入れます。

 肩の縫い目 や 袖の縫い目 を忘れずにw

 

 造形は「OK」となったら、最後に ラッカーの溶剤を筆に湿らせて、パテ全体を優しく撫でます。表面が軽く溶けて 滑らかになりますので。

 これで後は「完全硬化」するのを待つ のみ。

 

 ※ ここで注意点(デューロパテ あるあるw)

 デューロパテは硬化後も「弾力」があるパテなので、削る工作には向いてませんw

 デューロを使うなら 造形「1発勝負」です。

 造形が 気に食わないなら、硬化後 デザインナイフでデューロパテ部分は切り落とし、やり直す。

 実際、私も そうしてましたw

 硬化して 眺めて「 なんか違う 」と思えば やり直すw

 まあ そうやって上手くなるんですけどね。

 因みに、このフィギュアは左右の腕ともに「1発」でキマリました。 

 

 上の2枚の写真で気が付いた方もいると思いますが、ベルトに付いた装備品は「イモ付け」ではなく、プラペーパーと伸ばしライナーで、実際にベルトに「ぶら下がってる」ように加工してます。飯盒の取っ手も 銅線に置き換えてます。

   フィギュアでも「精密感」を 出せないかな~ ってw

 

 5, で、フィギュアはまずは「顔」から塗ります。(この時は 白サフ を吹いてます)

 やっぱり「顔」が キマらないと、落ち着かないですしw

 この頃はまだ、タミヤアクリルの下地塗装に タミヤエナメルで 仕上げをしてました。

 肌の陰影とかは ブレンディングって技法で。

 

 6, ジオラマ初作の車両が、「 武装親衛隊が、戦場で改造して作った車両」だったので、必然的にフィギュアは 武装親衛隊の軍装でなければいけない!w ということで、予行演習で 「武装親衛隊の迷彩スモック」を塗装で表現。

 「新選組」というメーカーが いろいろな迷彩柄のデカールを発売していたので、それを買って、それを観察しながら 「色」を調色し、「パターン」を描いています。

 上の写真は、まだ「つや消しクリアー」を吹く前のツヤ有りの段階。

 

 7,  最後に「自家製つや消しクリアー」を吹いて ツヤを落ち着かせて 完成!

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 飯盒や水筒のカップ部分はアルミ製なので、そんな感じにチッピング

 

 この習作で、やれば出来るじゃんw ってことで、作品の自由度が広がりました。

まずは やってみる。 やらなきゃ始まらない  ってことですw

 で、生まれたのがこの作品 

    全てのフィギュアが 世界に ただ一つ w

 

 

 その後 デューロパテではなく、タミヤのエポキシパテ(オレンジ色部分)を主に使ってました。削り加工 も出来ますし。

 この作品から フィギュアの塗装は ファレフォ アクリルで。  

 

 フィギュアの塗装をされるのであれば、ファレフォはお勧めです。

匂いもしませんし、水で希釈できますし、乾きも速いですし、乾けば 重ね塗りもできます。薄い塗料を重ねると 筆塗りで グラデーションとか 可能。

 

1/20    ロペス貴子(実在の方ですw) マシーネンクリーガー

こんな塗装もできますので。 全て筆塗りです。

 

 フィギュアのセミクラッチ や 塗装が出来ると 作品の幅、自由度が 広がりますので、是非!