模型製作について その5 塗装の諸々


 久々に営業に行きましたが・・・

 この暑さで マスクしてると、辛いですね・・・^^;;

 自分の体温で温まった空気を吸うので、身体に熱が こもりますし、二酸化炭素濃度の高い空気を吸うので、酸欠気味になりますし・・・

 客先も エアコンをガンガン効かせて、扇風機も回してくれているのに 話してると 汗だく w

 マスクは飛沫防止のためなので、鼻はマスクから出して、フレッシュで冷たい空気を吸った方が良いですね。

 熱中症と酸欠に ならないように。

 

 さて、今回も塗装に関して ですが・・・

 最初に 「結論」 を言ってしまうと、模型作り、塗装方法にはキマリは無いんです。

 完成した作品が自分の求める 仕上がり なら OKな訳ですw

 ここから 先の話は 私の「独り言」ですのでwww

 私の価値観、センス、拘り に基づいた塗装法の話なので、適当に 聞き流してください ^^

 

  私も 出戻った当初 (1/144の食玩の改造)は 右も左も判らないので、まずは模型雑誌のHow to 通りにやってみました。

 でも・・・自分の望む 仕上がりにはなりませんでした・・・

 

「 戦車模型=つや消し塗料 で塗る」

 確かに、1/35なら つや消し塗料で塗っても、そこまで可笑しくはならないんですけど、1/144を つや消し塗料で吹くと、仕上がりが ハリネズミみたいに ケバケバに毛羽立って見える・・・ 

 指先に載る大きさですので、「模型と塗膜のスケール感が合ってないw」

 私は接写して、アップで作品の写真を撮るのが好きでw

 接写して 塗膜の粒子が見えたら そこで「興覚め、台無し」 なんです。

 1/144だけど、1/144には見せたくないw

 

 

1/144 WTM III号突撃砲G型

 主砲の箱型防盾、シュルツェンシュルツェン架、予備履帯、装填手ハッチMG機銃架防盾、荷物ラック、ハッチ等を プラ板で工作。

 ツィンメリットコーティングを刻み、エアブラシの超細吹きで3色迷彩を塗装

 

 つや消し塗料というのは、塗膜が マット状(粒々状)だから、ツヤが無い。

 その粒々が積み重なると さらにマット感が強くなる。

 サフも つや消し、 基本塗装も つや消し、最後に つや消しクリアー ・・・では ガサガサ状態・・・w

 そのガサガサで、ウォッシングしたら・・・サーっと 染み込んで 真っ黒ですw

 この「染み込む」のが 大嫌いwww (汚し具合をコントロール出来ないからw)

 1/144WTMの初作は ケバケバの 「まっ黒 黒助」状態・・・^^::

  (当然 真っ黒黒助 の写真は撮ってませんw)

 

 で、どうしたかというと・・・

 クリアーを足して、半ツヤ程度で塗っていく(吹いていく)

 サフも 光沢か半ツヤ 基本塗装も 半ツヤ 細部の塗装も半ツヤ w

 

 で、「最後の最後」で、自家製つや消しクリアーで 様子を見ながら 各部分のツヤの調整をする。

 

 つや消し用クリアーにも いろいろありますが、私は多少 多めに吹いても ケバ立ちにくく白くなったりしない 「スーパースムース系」のつや消しクリアー + クリアー + ラッカー溶剤  を混ぜて、「自家製のつや消しクリアー」を作り置きしてます。 

 それを作品毎に 微調整して吹きます。(ツヤ加減、表面状態の調整)

 

 1/144で編み出した手法ですが、その後の1/35、1/20、1/48等でも 半ツヤ塗装です。もちろん車両も 飛行機も フィギュアもそうです。(カーモデルだけは 別w)

 ※ フィギュアに関しては 「サフ」や「下地塗装」を光沢で吹いて、仕上げの筆塗りは 塗料(ファレフォ 等)のままのツヤ加減で 塗っていきますが、下地がツルツルなので、マット感が出ず、光沢を保ったまま塗っていけます。

(光ってるので陰陽は見えにくいですけどw)

 

 光沢 黒茶サフ ⇒ 肌下地は アクリルのクリアーオレンジ+フラットフレッシュ(光沢)⇒ ファレフォ アクリルの筆塗り

  ツヤの調整前の状態。(ロペス貴子さんは 汗をかいてる 訳じゃありませんw)

 

1/20  ロペス貴子  自家製つや消しクリアーで ツヤを調整後

 

 当然、接写したり 写真を拡大しても 塗膜の粒は見えません。

 だから「スケール感を消す」ことが出来る。

 比較対象物がなければ、大きさが 判らんw って感じ ^^

 

 あと、私は アクリル塗料も ラッカー系溶剤で溶いて 吹きます。

 結構シャバシャバ系でw

 なぜかというと・・・

 アクリル塗料をアクリル溶剤で溶いて 吹くと 対象物に届く前に 空気中で塗料の粒子が乾き、粒状で載り重なっていくから・・・

 ラッカー系溶剤でシャバシャバなら 対象物の上で 濡れ広がってくれて  粒になりにくいから。

 最後には エアブラシを 「うがい」させたラッカー溶剤を そのまま、対象物に吹いて テロテロに濡れた状態にまでします。(なるべく粒子を溶かして寝かせるために)

 

(カーモデルを作るまでは、知らないで やってたんですけど、カーモデラーは当たり前にやるそうですねw)

 そこまでして 粒々感を 出したくないw

 

 ※ 密閉した空間でやると ラリるので、換気は充分に。

  出来れば「活性炭入りマスク」付けて。

  脳も「油脂」なのでラッカーで溶けるのでねwww

  環境ホルモンでもあるので、女の子しか授からなくなる可能性もありますしw

  そこは自己責任でw

 

 それでも、奥まったところとかザラついたりしますので、その時は、目の細かいペーパーを掛けて、ザラ付きを除去して、再度ラッカー系溶剤を吹いたり、薄めの塗料を吹いたりします。

 

 1/35 タスカ(アスカ) M4A1 後期型

 自分で言うのもなんですが・・・1/35に 見えないですよね?w

 緻密な塗膜(質感)と 適度なツヤで 硬質感、重量感が出てると思います。

 

実車の戦車も いくら つや消し塗料を塗っていても、下地の金属が 滑らかで光っていれば、太陽光が当たれば、少しは反射して光りますからw

 実際、シャーマンの記録写真を見ると 結構光ってますし。

 前回の「塗装で「金属」を表現する」でも書きましたが、「ツヤ」と「表面の質感」は かなり重要です。

 

 あと、塗装し易い状態で塗装した方が良いです。

 ストレスも溜まりませんしw

 塗りにくい 構造の部分は 別けて塗装して 最後に組み立て接着で問題ないです。

 「全部組み立ててから塗る」っていうのは 自分的にはストレスが溜まるのでしないです。(俺はMじゃないw)

 戦車の足回りとか・・・無理w

 筆の入り辛いところとか・・・無理w

 陰になって、見えない部分も 塗っておきたいから・・・無理w

 趣味なのに「苦行」になったら ナンセンスですから。

 

 塗装してから接着するのも難しい  って声もあるかもしれませんが・・・

 無理に接着剤でくっ付ける必要もなくw

 重量のあるモノは無理ですが、軽い物なら「 液体のり」でもOKな訳で。

 戦車のラックに入ってるレーションの箱や、弾薬箱、OVMラックのOVMとかは、トンボ(文具)の「PIT MULTI 2」 とかで固定すれば簡単です。

 固まれば 透明になって簡単に剥がせますし。

 逆さまにして 揺すっても落ちないくらいの粘着力はありますので。

 「回したくない」砲塔とかに使えます。(接着はしたくないけど、動きは止めたい とか)

 

 塗装の順番、塗料の順番とかも、あまり関係ないです(笑)

 サフ吹いて、基本塗装して、各部を塗り分けて、墨入れ、ウォッシングして、ドライブラシ掛けて、ウエザリングして 最後につや消しクリアー吹いて とか 決まってませんのでね ^^

 「法則、How to」通りだと、皆、同じような仕上がりになってしまいますからw

 (俺が一番嫌いなヤツwww)

 

 仕上げてみたら、なんか物足りない と 思えば・・・

 足回りのウエザリングで 付けたピグメントの上から 再度 その土系の濃い色で 墨入れしてみるとかw

 油彩、エナメル系で再度 フィルタリングしてみるとかw

 ※油彩、エナメル系を重ねたい時は、自家製つや消しクリアー(半ツヤ)を吹いて、遮断して下地が溶けないようにします。そうやって 幾重にも重ねたりすると 深みが出たりw 

 例えば ・・・M1A2 SEP TUSK II は

 「墨入れ」「ウォッシング(拭き取りまでして)」後に  軽く吹いて保護

 「フィルターリング(太陽の光で水平面が 退色 とか)」後に 保護

 「ウエザリング(ピグメントで汚し)」後に  保護

 「ウエザリング(土のアクの垂れ)」後に 保護

 とかw (軽く吹く程度で 大丈夫です。)

 エナメル系、油彩系は すぐに溶けるので、保護した方が 色を重ねられる。

 

 M1A2 SEP TUSK II は 4~5回くらい保護して レイヤー(層)を重ねてます。

 (タミヤ・モデル・マガジン・インターナショナル誌(英国で刊行) 2013年10月号 issue216 の表紙に使われた写真) 

 自分が「完成!」と思うまでは 「なんでもアリ」ですから ^^

 

 因みに、私はエナメル溶剤は使わずに、油彩用の「オドレス ぺトロール(無臭)」を使います。 エナメル溶剤はプラが割れることがあるのでねw 

 プラの可動履帯をエナメル溶剤でウォッシングなんてしようものなら、しばらくして履帯がバラバラになりますからね ^^;; 連結ピンが折れて・・・w

 

 あと、墨入れですけど、「黒色」単体では 使わない方が リアルです。

 自然界に「黒」って色のモノは、ほとんどありませんから。

 黒を使った時点で「違和感、不自然さ」が発生するので。

 

 墨入れは基本、その素材の色の「濃い色、暗い色 」

 

   1/48 TAMIYA  ゼロ戦52型 コックピット

 墨入れは 濃い緑+黒(極少量)の 油彩+オドレス ぺトロール

 

 影が出来るとしても 「黒の影」が出来る程の ブラックホールのような 深~~~い 溝 ではないですよね?

 その素材の色の 暗めの色 で 墨入れした方が 良いです。

 戦車で ジャーマングレー系の車体なら ジャーマングレイ+黒(極少量)とか

 戦闘機で 明るいグレー系の機体なら、同系統の濃いグレー とか

 

 どの素材、どの部分も 一括して「同じ色」で 墨入れは・・・私はしませんw

 同じ系統の色の濃い色、暗い色を調色して墨入れします。

 

 あと、上の写真で フットペダルの塗装が剥がれて、下地のアルミ系素材が見えてるのは 「シリコーンバリア法」というやり方です。下地のアルミ系(ジュラルミン系?)を吹いて、乾いたらシリコーン(離型剤)を剥がしたい部分に筆で塗る。その上からグリーンを吹いて、乾燥後、シリコーンを塗った部分を爪楊枝とかで 引っかくと塗膜が剥がれるw

 「イヤらしく」ならない程度に やると効果的ですw

 

 

1/35 AFV Club   Nashorn

 冬季迷彩の車両で 部分的に冬季迷彩を剥がしたい場合に使う技法「ヘアースプレー法」っていうのを使った作品。

 ダークイエロー系の上にヘアースプレーを掛ける。髪をセットする時に使うアレ。

 で、間を置かずに、すぐに冬季迷彩(白系)を吹いて、乾いたら、水を付けながら綿棒とかで擦って剥がしていく感じです。

 冬季迷彩を吹いた後、あまり置いてしまうと 塗膜が完全に乾燥して硬化して、剥がれなくなるので、そこは注意が必要。 

 冬季迷彩はラッカー系じゃなく、アクリル系の塗料を使った方が 良いです。ラッカー系は食い付きも良いし 塗膜も強いので、剥がれない場合がある(経験者は語るw)

  

  プラ板で、シリコーンバリアー法、ヘアスプレー法を試した テストピース

 さすがに いきなり ぶっつけ本番っていうのは 難しいのでねw

 傷がシリコンバリアー法で、冬季迷彩がマダラに剥がれてるのがヘアスプレー法

 あとは ちょっと錆びを滲ませて・・・ って感じw

  

 なぜ冬季迷彩を剥がすか? っていえば、戦線で冬を迎え、白ペンキとか手に入らない場合、現地で手に入れた「石灰」とかを塗りたくってた って言われてるので、雪や雨で石灰が溶け落ちた感じを再現したい ってことで。

 ただ 「真っ白」の冬季迷彩だと 下のベースと溶け込んじゃうので、敢えて「グレー系」で冬季迷彩してますw

 

 このナースホルンは いろんな技法の「てんこ盛り」で・・・

シリコーンバリアー法 (戦闘室の床板の塗装を二重で剥がしたり、チッピング系)

・ヘアスプレー法 (冬季迷彩剥がし)

・科学的モジュレーション塗装(自称ねw 私が勝手にそう言ってるだけw)

 構造物を 「より立体的」に見えるように、面の角度に応じて明度を変えて塗装する方法。 要は「アニメ塗り」w これならジオラマにしても違和感なし。

 基本塗装のダークイエロー系も 冬季迷彩のグレー系も 4階調の明度の塗料を作ってマスキングテープを使って 面の角度毎に吹き分けてます。

 (M1A2 SEP TUSK II  も 宇宙戦艦ヤマト2199 も 同じ塗装技法で施してます)

 EUモデラーの好きな美術的なモジュレーション塗装は、「単品作品」なら良いんですけど、ジオラマにすると違和感あるからね・・・w

 

 科学的モジュレーション塗装で 基本塗装を施した直後の1/35 Nashorn。

 面の角度によって明度が違うのが わかりますよね?

 1/1000 宇宙戦艦ヤマト2199  基本色、艦底色ともに 科学的モジュレーション塗装

 

 

 

 色も スケールに合わせて明度を変えた方が良いです。

 小さいスケールなら より明るめに調色する。

 1/144を 1/35と 同じ色で同じ工程で塗装すると、仕上がりが かなり暗く 黒くなってしまうので。

 

 ドライブラシは 昔ほど多用しなくなりましたけど、上手く使えばモールドを引き立たせたりできるので、細かい部分には、さりげなく使いますw

 最近はファレフォで塗っちゃうことが多いですけどね。

 

 ウエザリング、汚しに関しては、人それぞれの感性なのでね。

 私は 「品のある汚し」が好きなので、あまりコテコテにはしないです。

 ポイントを絞って汚す感じ です。

 もちろん 実際の車両の写真とか、建設重機とか よく見て 汚れる箇所とか 汚れ具合とか 錆びの出てる場所、色合い とか 観察することが大事。

 戦車の場合は 履帯(キャタピラ)の表現には こだわり ますけどw

 戦車模型って 履帯で かなりキマる  のでねw

 履帯で金属感、使用感を 出せてるかどうか が結構 効くので。

 

 長い 独り言だったな・・・w

 もう 隠してることはない・・かな?(笑)

 

 自分の欲しい仕上がりになるよう、考えて、いろいろ試行錯誤するのが楽しいですね。

 自分が納得できる作品の仕上がりが 「正解」ということです。

 

 次回は 「工作」か「写真撮影」か 気分次第でw