模型製作について その6 フィギュアの塗装

 

 今回は 工作か 写真撮影 と思ってたんですけど、「フィギュアのセミクラッチの続きと、フィギュアの塗装」いうことでw

 「塗装で「金属」の表現方法」も そうですが 「フィギュアのセミクラッチ」の閲覧回数も多かったので、興味のある方が多いと思いまして。

 

 ちょっと お話すると、私は仕事が金属の表面処理関係(めっき関係)で、その仕事の知識が、模型作り、塗装に 凄く 役立ってます。

 「めっき」 も 「塗装」 も 基本的な部分は 同じ ですから。

・ちゃんと下地の素地を 均して整えておかないと めっき後、塗装後に 浮き出てくる。

・表面の油分や酸化膜(めっき のみ)を除去しておかないと、あとで剥離する。

・セッカチに一気に厚く付けると 均一で緻密な膜にはならない。

 

 技術営業的な営業(もちろん売りますw)なので、顧客から いろいろな相談があります。出来るか出来ないか 五分五分 的な 難しいモノだったり、どのような工程なら不良が少なく量産できるか? 、不良が急に出たが、その原因は?  とか。

 模型作りしてると、いろんなこと考えますよね?

 段取りもそうだし、今までの経験上、どうやったら一番失敗せずに自分の望み通り、イメージ通りに仕上がるか 考えたり。いろんな可能性を探って考えるし、そこにあるリスク、メリット全て考える。 で、テスト的に試してみたり。

 で、それが仕事にも活きるw  同じ モノ作り、表面処理なのでね。

 仕事も 趣味(模型作り)も 同じことしてるw

 試験室で 自分の考えた工程で 実際にめっきを付けてみる。 思い描いた通りに行かない場合は 途中で 工程変更したり、条件変更してみたり。

 で、工程が確立できれば、顧客に提案する。  

 そういうのが楽しい♪ 

 電子部品、半導体、自動車、装飾品等 分野も さまざまで 飽きないしw

 当然、その分野の要求することを知るために、各分野のモノ作りの知識も必要ですので、いろんな製造方法も学べるますし、それも模型作り、塗装に活かせてます。

 

 自分の作品を見て「うぉ 凄っ」とか 驚いてくれるリアクションが欲しくて作ってる部分もあります(笑) 

 子供の頃から そうw 「ありきたり」なモノは作らないw

 中学高校の美術の授業も アイデアが浮かぶ まで授業では作らず・・・

 で、 アイデアが浮かべば 家でイッキに作って 締め切り前に提出する 的なw 

 で、市の展示会に 学校代表で 展示されるとかw

 

 あと「負けず嫌い」っていうのもありますw (体育会系 化学系モデラーw)

 出戻ったばかりなのに、プロにも負けたくないwww  (美術系の学校も出てないけどw)

 まあ  そういうメンタルなので、上達も 滅茶苦茶 速かったんだと思いますが ^^

 

 

 今回は 2009 静岡ホビーショー全国模型クラブ合同作品展 向けに作った フィギュアです。

 「ミリタリースナイパー」って本の中の米軍 海兵隊狙撃兵(ベトナム戦争)の「膝射ポーズ」の写真が 格好良くて、作ってみたくなった訳です。

  今回は 下半身も。 0.8mm真鍮線でポーズを キメて 木部用パテで肉付けて、タミヤのエポキシパテ(黄色 or オレンジ色?)で造形

 緑色は デューロパテ。 頭髪は 固まる前にデザインナイフに水を付けて、引っかけるように切って、ラッカー溶剤で撫でて、角を落としてます。

 加工の具合を見るために、白サフを吹いてから 軽くウォッシング。

 ちなみに、このポーズだと顔が塗れないので、腕は肩から抜けるようになってます。

 アーマーモデリング誌の吉岡さんの記事を参考に 肩口にリップクリームを塗っておいて、造形後、腕を捻ると 真鍮線を止めておいた瞬間接着剤が外れて 抜ける寸法。

 で、タミヤ アクリル下地、タミヤ エナメルで塗装 

  腹筋 割れてるw(デューロパテで造形) 適当だけど。

 ジャングルブーツのソールは エポキシパテで造形してます。

 US Marine Sniper in Vietnam "One Shoot One Kill" 

 狙撃兵は目立ってはいけないので、本来はこんな格好はしませんw

 ベトナム戦争=裸に ボディーアーマー ってイメージがあるのでねw

 植物はこの頃、出始めた 「紙造り」のレーザーカットの紙製

 これを使ってみたかった って動機もあったw

 岩 は 家の庭から取ってきた石w 

 地面は腐葉土が積もった感じに。 木の幹は 捩り銅線に光硬化パテを塗って整形。

 

 今見ると、木の葉は 紙造り じゃなく、フォーリッジやコースターフで作っておけば、もっとリアルに出来たかな~ っと 思います。

 

 

 さて、 フィギュアの塗装ですけど・・・

 まずは、顔、特に「目」をキメるのが 先決です。

 

 全ては、「目」でキマりますから。

 

 いきなり塗る前に まず自分の「目」を鏡で見て観察した方が良いです。

 黒目の大きさ、比率だったり。

 開いた瞼から見える部分の どの程度が 白目で、黒目なのか。

 まずは「本物」を観察することが大事。

 モデルの写真があるのであれば、それを穴が開くほど見るw

 イメージを脳に焼き付ける。

 

 手順は、下地塗装後、中心(基準色、垂直面の色)の肌の色を顔全体を塗って、白目の色を塗って、黒目を入れて、星を入れる。

 目がキマったら、肌の陰陽を塗っていく。(キマるまで何度も塗り直すw)

 ※ちなみに、ロペス貴子さんは、一発でキマりましたw  

 ゾーンに入ってる時に塗ったから(笑)

 

 

 土屋アンナさん ではありませんw 眉毛、まつ毛の無いロペス貴子さんw

 (黒茶サフ(光沢)⇒ クリアーオレンジ+フラットフレッシュ(アクリル、光沢)が下地です。) 

 

 白目は「白」色 で塗っては いけません。

 「白」で塗ると、お人形さん になります。

 白+青(極少量)で塗ると お人形さん にはなりません。

 

 前回でも 墨入れに「黒」は使うな と書きましたが、「白」も同じです。

 真っ黒、真っ白 って自然界にはない。

 黒いけど、少し青み がある とか 黒系でも 色味はあります。

 白も そうです。 

 「白」「黒」を使うと 途端に 嘘臭く なりますw 

 

 

 眉も入って ヤンキーを卒業した ロペス貴子 さんw

 

 ここで見て欲しいのは「目の付け根」というか 涙腺のあるところ。

 これが塗ってあるかで、人間か 人形か 別れますw

 「涙腺」を塗ってあげると白目も球に見えますし。

 当然ですが、左右の目の向きは 揃えて。

 まつ毛 は 毛は描けないですけど、アイシャドー的に 上下の瞼の縁に 黒系で線を引くとそれらしくなります。

 

 化粧は・・・加減が難しいです。

 造形が「濃い顔」 なら 口紅を差してあげるだけで、充分 見られる顔 になりますのでw (美人は すっぴん でも 美人w)

 間違うと・・・夜の商売 的な~  みたいになってしまうのでねwww

 販売してるフィギュアは、大体は 「濃い顔(目鼻立ちがハッキリしてる)」してるので、化粧はしなくてOKだと思いますね。

 するとしても 極薄に溶いた 赤系を 頬に 薄っすら塗って、血色を良くする程度で。

 化粧は 薄い顔の人用に とっておけばよいですw

 

 陰影は どこから光が来てるのか意識しながら塗ることが大事。

 まあ 大体は 上 から 光を浴びて 出来る 影 や テカリ を表現すれば間違いはないです。

 

 まずは 中心の肌の色を決める。(垂直面の色)

 それを中心にして 明るい色 2~3色、 暗い色 2~3色を 調色する(塗料から選ぶ)

 色の境目は気にせず、各面に応じた色を塗ってみる。

 で、その色の境目が 極力 判らないよう グラデーションでボヤかしていく。

 ファレフォなら 乾けば 重ねても 下地は溶けないので、薄く希釈した塗料を重ねていって 境目をボカしていく。

 セッカチな 私には ファレフォは助かる(笑)

 見た目 乾けば すぐに塗れるので。

 数回もやれば コツを掴めると思います。

 

 顔だけではく、服とかも 全く同じ手法。 5~7階調の色で 陰陽を付けていく。

 で境目をボヤカして消す。

 

 ちなみに私はフィギュアの塗装では Winsor & Newton のシリーズ7 の 000 という筆を使ってます。一度使うと、止められないですw

 狙った通りに描けるのでね。

 少しお高めではありますが、ストレス溜めて塗るより、気持ち良く塗りたいので。

 大体 一作品作ると 筆もヘタるので、ヘタった筆は 模型の塗り分け や 墨入れ、ウエザリング用に使います。

 筆に付いた 塗料を落としたり、ティッシュで拭いたりしてると、毛も切れて短くなったり、細くなったり、筆先が広がったりするので。

 フィギュアの目とか 良い状態の筆でないと厳しいので。

 ある程度、そこは消耗品と割り切ってます。

 

 これは どのスケール(1/35以上)のフィギュアでも同じですけど、塗り易くする加工しておくことも重要。

 素材の境目が「あやふや」だと筆も 狂うのでねw

 服の際とか 合わせ目 とか デザインナイフの刃の背 とかで 彫っておく。

 当然 墨入れも出来るし。

 モールドがユルくて 縫い目が浅いモールドも ケガキ針 等で 彫っておく。

 そうすると 自然の影も出来るし、シャープに見えるのでね。

 

  1/35 武装親衛隊装甲擲弾兵 

 腕と 下半身部分のポンチョ部分はデューロパテで造形。

 襟、ベルト、胸の合わせ目等の 際を彫り込んでます。合わせ目には 伸ばしライナーで作った紐を X 字 に。

 小銃のスリングは コピー用紙 から。瞬間接着剤を染み込ませて 目止めしてます。

 雑嚢の際を彫り込んで、飯盒の取っ手を銅線に置き換えてます。

 装備品は「イモ付け」にならないよう プラペーパーでベルトにぶら下がってるように工作。

 スコップケースとスコップの際も彫り込んでます。

 各マテリアルに合った ツヤ、質感に 塗り分けてます。

 

では、また次回w